
こんにちはー!
大丈夫さんです!
今日の記事は朝活で書いていますが、さっきまで夢で探偵をしていましたが、毛利小五郎ばりに見栄張ってました。
今回はですね、こちらの漫画
この世界の片隅に 上・中・下 著者:こうの史代さん
を読みました。
映画化したことを知っていたので、いつかは観たいなぁと思っていました。
たまたま漫画を読む機会があって、試しに読んでみたらこれがものすごく面白かったのです。
昭和初期の人達の優しさに触れて、あたたかいストーリーかなぁとほっこりして読んでいたのが、
「あれ、様子がおかしい・・・。」と温かいストーリーの陰で当時のリアルな男尊女卑の様子をみたり、
戦争の恐ろしさを感じ、一瞬で世界が変わる様子を見ることができました。
一言でいうと気持ちの振れ幅が大きい、「温かい世界〜恐ろしい世界」のギャップを激しく感じられる漫画でした。
かなりおすすめの漫画です。
戦争というか昭和初期の生活をここまでリアルに表現した漫画は見たことないですね。
今回は、ブックレビューとそこから学んだことをお伝えできたら良いなと思います。
あらすじ

この漫画は太平洋戦争の前後の生活を生き抜く、広島に住む少女「浦野すず」ちゃんの物語です。
「上」巻では、どこかおとぎ話のような話に見える始まり
「中」巻から幼い女の子が嫁に行き、苦労しながらも昭和初期のリアルな生活を楽しむ感じ
そして「下」巻。今まで積み上げたものが「戦争」というものの影響で崩壊していく
そんな感じのストーリーでした。
「下」巻では、気持ちの整理がつかなくなるくらいのスピードで物語が進行していきます。
浦野すずちゃんの特技は「絵を描く」ことです。
ちょっとおっちょこちょいで周りの人に迷惑をかけることはありますが、努力家で諦めない精神を持っていたので、皆から愛されて生活していきます。

最初はおつかいで町に行くんだけど、そこでオオカミのような男の「人さらい」に会うんだよね。ね、オオカミさん。

俺じゃないぞ。
そこで先にさらわれていた「周作」と出会います。

すずはこういう時も冷静で起点を利かせた方法で
なんとか周作と逃げることができたんだよな。

ちなみにここの序盤の物語は「伏線」で最終巻で、「あっ!!え!!こういうことに繋がるのか!!」となって面白かったよ。実はこの漫画には、かなり伏線が散りばめられていて後で一気に伏線回収していくのも見どころだよ。

オオカミ男が出たり、座敷わらしをみたり、
ファンタジーの世界か?と最初は思ったな。

ちなみにこの「座敷わらし」は漫画版ではいまいちよくわからなかったけど、映画版では実は「ある重要キャラ」だったということが明かされて、鳥肌ブワッてなりました。それを知って漫画版を読み返したら、「伏線」だらけでまた鳥肌ブワッ!!

シロクマも鳥肌立つのか?

立つんじゃない?毛、あるし。

・・・。
昭和初期の生活

この漫画に使われている言葉が当時の「広島の方言」でして、慣れないうちはかなり読みづらさを感じました。なので何周も何周も絵を見て、情景を思い浮かべながら読み進める必要があります。
でも、言葉がわからないのに「ここぞ」って時は表情や空気感でわかるのがこの漫画のすごいところです。
実は、太平洋戦争前の生活ってどんな感じなんだろうと思ってみてみると、最初はそこまで辛そうじゃないなと思いました。
しかし「中」巻から雲行きが怪しくなっていきます。
国からの「配給」がどんどん少なくなっていき、食べ物や炭なども節約して使っている様子が見られました。
物の「ない時代」は、さまざまな生きるための工夫をして生活しなければならない。
僕のように「物のあふれた時代」に生きる人にとって、全く別の世界かのように感じました。
でも、よく考えてみたら、自分のおじいちゃんやおばあちゃんがものすごく「質素倹約」に生活していたのを思い出しました。

太陽光でお風呂の水を温めてたよ、僕のおじいちゃん。
お風呂の中、羽虫だらけで最悪だったよ。

流石に昭和初期でも太陽光で温めてなかったぞ。
そういえばお前の家、クッソ貧乏だって言ってたもんな。

紙は大切だからと言って、ティッシュは鼻をかんでも5回ぐらい使わないと捨ててなかったなぁ、おばあちゃん。
昭和初期の人々の様子

昭和初期の人々は、周りの人との関係が濃厚です。人との「助け合い」が素敵だなぁと思いました。
でも「助け合い」がないと生活できない時代だったということです。
今のような「一人暮らし」で助け合わなくても、まぁなんとか生きていけるな、というような世界ではありません。
空襲で家が危ないから、少し離れた親戚の家に備蓄を移動させて欲しいとか、大根や魚が今日はたくさん取れたからあげるよー、とか。
質素倹約を強いられる世界の中には、人と人との関係を良好に保たなければ生活ができないので、人間関係がものすごく大事であることがわかりました。
現代では隣人や人との関係が気薄になっていて「ダメだ」と言われることが多いですね。
ですが、これはおそらく「その時代」によって変わってくる物だと思います。
この漫画を読んでみて新しい視点に立つことができました。
戦争が奪っていくもの

上・中巻は浦野すずの愉快な物語がメインで進みますが、下巻からはすず自身も被災する場面が出てきます。
下巻のスピード感は尋常じゃない、上・中巻のあの「ほっこり」とした生活はなんだったのか。
全てをひっくり返すような、そんな状況になります。
これが「戦争」の怖さです。漫画を通して擬似体験ができます。
上・中巻で、登場人物に愛着が湧いて、あたかも一緒に生活しているような温かい空気感に浸っていたのに、下巻でそれを一気に奪われます。でもこれが、戦時中の実際なんですね。
今まで積み上げてきたものが一気に崩壊する感じ。
それでも、前向きに生きていこうとする人や絶望する人。
さまざまな人間模様を俯瞰して見ることができます。
作者こうの史代(ふみよ)さんの「あとがき」
わたしは死んだ事がないので、死が最悪の不幸であるのかどうかわかりません。他者になった事もないから、全ての命の尊さだの素晴らしさだのも、厳密にはわからないままかも知れません。
そのせいか、時に「誰もかれも」の「死」の数で悲劇の重さを量らねばならぬ「戦災もの」を、どうもうまく理解できていない気がします。
そこで、この作品では、戦時の生活がだらだら続く様子を描くことにしました。そしてまず、そこにだって幾つも転がっていた筈の「誰か」の「生」の悲しみやきらめきを知ろうとしました。呉市は今も昔も、勇ましさとたおやかさを併せ持つ不思議な都市です。私にとっては母の故郷です。
わたしに繋がる人々が呉で何を願い、失い、敗戦を迎えて、その23年後にわたしと出会ったのかは、その幾人かが亡くなってしまった今となっては確かめようもありません。
だから、この作品は一つの解釈にすぎません。ただ出会えたかれらの朗らかで穏やかな「生」と「記憶」を拠り所に、描き続けました。(中略)
昭和18年から23年の小さな物語があった事。のうのうと利き手で漫画を描ける平和。そして今、ここまで見届けてくれる貴方が居るという事。
すべては奇蹟であると思います。
このあとがきは、読む前に見るのと、読んでから見るのとではだいぶ受ける印象が変わりますね。
『この世界の片隅に』のテーマはこうの史代さんの、「わたしは死んだ事がないので、死が最悪の不幸であるのかどうかわかりません。」という言葉に凝縮されているなぁと感じました。
あとは、こうの史代さんの画風として、トーンを使わない漫画を描くという事が挙げられます。
なので、全て背景や服の柄など全て『手書き』です。
手書きだからこそ、上・中巻の毎日を楽しく過ごす『柔らかい』印象と、下巻の被災後の『崩れ落ちた、壊れされた』印象がダイレクトに読者に伝わります。
また主人公の浦野すずの『気持ち』が風景全てから伝わるので、序盤と終盤の差を比べてみると変化の差にびっくりすると思います。
まとめ

いやぁ、さすが映画化までする作品だけあって、終始「圧倒」されてしまいました。
これ、新宿ルミネのガヤガヤした中で、大丈夫さんのメガネを作っている待機時間に読み始めたんですが、あのうるさい中で広島の方言や昔の日本語が言葉がわからないのに、なぜか伝わる。
- 昔の日本の、『お国のために』の空気感
- 人の女性はこうあるべきの空気感
- 男性はこうあるべきという空気感
これらを全身で感じる事ができました。
間違いなく素晴らしい漫画でした。
これを言っては浅い感想になってしまいそうで、なるべく言わないようにしていましたが、
『やっぱり現代社会は恵まれている。1日1日を消費するのではなくて、大事にしたくなった。』
というのが読み終えた最後に、僕の頭に現れた言葉でした。
気になった方はぜひ読んでみてください。心からおすすめできる作品です。

ちなみに大丈夫さんはKindle unlimitedで無料で読ませていただきました。
1ヶ月無料だからね、読みまくらないと損だよね、ふふふ。
リンク貼っておきますね↓
では今回はこれで!

では、今回はこれで!
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